2011年2月25日金曜日

矢野顕子



 前回名前を出したので、せっかくだから。

「日本のケイト・ブッシュ?」矢野顕子。
1976年発表のデビューアルバム「JAPANESE GIRL」。
全体的に・・・という表現の枠には収まらない、バラエティに富んだ曲が鏤められた矢野顕子の世界全開の作品。

 レコードでいうA面(5曲)のバックはアメリカのバンド「Little Feat」、
B面(5曲)は細野晴臣、ムーンライダース等の面々が担当と蒼々たるメンバー。

で内容は、
1曲目「気球にのって」。簡単に言えばR&B調なのだが、歌い方と歌詞で独自の世界を造りあげてる曲。ごあいさつの1曲目でこれを持ってくるあたり、普通じゃない。
2曲目「クマ」。中国を思わせる、ゆる〜いメロディが何とも心地よい。後に参加する「YMO(Yellow Magic Orchestra)」にも、そんなメロディラインが垣間見ることが。
3曲目「電話線」。「プログレしてる」と思うのは自分だけか?
4曲目「津軽ツアー」。青森民謡の「ホーハイ節」をモチーフにしたのは一聴瞭然。でも、完全に矢野顕子の世界。
5曲目「ふなまち唄PartII」。青森ねぶたのリズム。
6曲目「大いなる椎の木」は前曲から一転してメロディアスで心が優しくなる名曲中の名曲。
7曲目「へこりぷたぁ」。鼓を取り入れ、アヴァン寄りな一曲。
8曲目「風太」。2分弱の短い曲だが、何度も繰り返して聞いていると、何か泣けてくる。
9曲目は昭和歌謡の名曲「丘を越えて」のカバー。まずこれをカバーしようと思う人がこの頃いただろうか。更には原曲にはない変拍子を入れ、これが何とも言えぬアクセントになっている。
10曲目「ふなまち唄PartI」。青森ねぶたリズム、再び。

とにもかくにも、後先例えようの無い個性の持ち主。それ故、好き嫌いがハッキリするが、決して懐かしいと思わせない斬新さを今でも感じさせてくれる傑作アルバムである。

2011年2月24日木曜日

Kate Bush


 これはプログレか?と賛否あるが、関連と言う事であえて紹介。
プログレファン永遠の歌姫?イギリスのシンガーソングライター「Kate Bush」、1978年デビュー作「The Kick Inside」(写真左=オリジナルジャケット)、邦題「天使と小悪魔」(写真右=日本版ジャケット)。
ご存じの方も多いと思うのだが、16歳の時にピンク・フロイドのデヴィッド・ギルモアに見出されデビューする事に。その後、'86年発表ピーター・ガブリエルの「So」では「Don't Give Up」でデュエットを、というプログレ絡みという事で。

ギルモアから見出された翌年から約2年かけてレコーディングした当作品。
て事は、当時19歳。イギリスでは実力派で売り出そうとしたのだと思うのだが、日本ではアイドルとして売り出そうとしていたのがジャケットデザインと邦題で如実に。
当然、この容姿にて日本ではプログレに無関心な人の中でも話題、ジャケ買い必至に。
しかし、プロデュースがデヴィッド・ギルモア、更には曲が曲だけに一筋縄では・・・。
よって日本のアイドルファンは、この1枚で遠ざかったとさ。目出たし、目出たし?

そんなアルバムの内容。
全体的にポップだが、プログレっぽい要素も所々に。
2曲目「The Saxophone Song」の入りも、途中サックスが入るあたりは完全にピンクフロイド。
6曲目名曲「Wuthering Heights(邦題=嵐が丘)」。某テレビ局の「恋のから騒ぎ」オープニング曲として使われチョッと話題になった事もあるバラードの名曲。
10曲目は6曲目とどこか通じる雰囲気の「L'Amour Looks Something Like You」。
かと思えば11曲目「Them Heavy People」は楽しいポップの好曲。
等々、全体に小品の全13曲。16、7歳の子が作ったとは思えない作品が並び、ある意味天才少女なのである。

余談だが以前、歌声、曲調などから矢野顕子と比較される事が時々あった。
確かに似ている。その時、日本では矢野顕子を紹介するときに「日本のケイト・ブッシュ」と。
しかし、アルバムデビューは矢野顕子の方が2年早く発表していて、尚かつ年上。そんな事は無視して、日本ではこういう表現が多かったのは確か。これが自分は大嫌いだった。
しかし「日本の〜」の表現が頷ける、そのものズバリが多々存在したのもこの時代である。

2011年2月21日月曜日

KHAN

 イギリスのカンタベリー系グループ「KHAN」、1972年発表の唯一作「Space Shanty」。
メンバーはギター&ヴォーカルの「Steve Hillage」。この頃、弱冠21歳の大学生だったとは・・・。
後にGongに参加し、Radio Gnome Invisible三部作で大活躍。
 ゲスト参加のキーボード「Dave Stewart」。後にEgg、Hatfield & The North、Gong、National Healthとカンタベリー畑を渡り歩く言わずと知れた名キーボードプレイヤー。
 ベースの「Nicholas Greenwood」はArthur Brownのグループ出身。
等と蒼々たるメンバー。
一時期、後にNational Healthのドラマーとして活躍する「Pip Pyle」も参加してたようだが、当アルバム作成前に脱退。個人的にはPip Pyleのドラムも聞いてみたかった・・・。

で、内容はと言えば、全曲「カッコイイ!」の一言。
 1曲目タイトル曲の「Space Shanty」。
出だしはハードロック調だが、ジワジワと変拍子のジャズロック調に。
 2曲目の「Stranded」入りこそ静かだが、中盤よりいい感じに。
 3曲目「Mixed Up Man Of The Mountains」、4曲目「Driving To Amsterdam」、5曲目「Stargazers」と立て続けに、これぞカンタベリー?
そしてラストの6曲目「Hollow Stone」。静かに始まるもジワジワと盛り上がり、終わり約1分はグチャグチャっとフリー風味に、で〆!

全体的にジャム・セッション風で、サイケ、ブルースの味も少々ふりかけた、通して聴く事で味が出る名盤かと。
「チョッと癖好き」の方には超お薦めの一枚である。

2011年2月19日土曜日

Cano

 模様替え一発目。
カナダのグループCano、1977年発表の2nd「Au Nord De Notre Vie
音的にはプログレ色を感じさせるフォークロック。
ケベック州出身故か、歌詞はフランス語。
なんと言っても、Female VocalのAndre Paiementが絶品!
かといって単なる女性ヴォーカル中心のバンドではなく、演奏もかなり凝っていて聴きごたえ充分。

1曲目「Che-Zeebe」、アコースティックギターの入りから、いかにもフォークロック的雰囲気だが、途中エレキのソロへとややアメリカ的に。
が、その後いきなりの変拍子からヴァイオリンとエレキ、更にはヴォーカルが絡み、なんともいえない落ち着いた程良い盛り上がり。雄大な大地を思わせるなかなかの曲。
3曲目の「A La Poursuite Du Nord」もその雰囲気を保ちつつ、
後半の5曲目「Mon Pays」、6曲目「Frere Jacques」の2曲は絶品。
前半とは少し違った雰囲気のジャジーな感じ。大人な感じの名曲2曲。
この2曲だけでアルバム1枚分の価値がある程の、我的は大好きな曲である。
ラストの「「Spirit Of The North」」は少しポップ寄りも、盛り上げ曲でいかにも〆って感じで良。